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古賀登 教授より


professor

平成20年6月

“36.6℃と4.5Kの温度差”

古賀 登


 機能分子合成化学分野では、その分野名が示すとおり機能分子を合成している。 現在、機能としては古典物性の一つである磁性に目標を絞り研究を続けている。 今までに例のない有機磁石(有機化合物のみからなる磁石)を目指した研究に始まり、 これまで、“光応答型磁性体;光が当たったところだけが磁石になる”、 “世界最小の磁石;1.4ナノメーター四方の大きさ”、 “3スピン磁石;3個の電子スピンからなる磁石”などユニークな磁石を合成し、 分子磁性の分野から世界に発信してきた。 我々が磁石を作るために用いているスピン源は有機物のスピンと金属のスピンの両方のスピンであり、 我々独自のハイブリッドなスピン系である。 ただし、そのスピン系のユニークさのため、世の中に認めてもらうのに長い時間がかかった。 かって我々の投稿論文に対して、世界的に権威のあるジャーナルのあるレフェリーは、 “これが事実であれば論文発表推薦に躊躇しない”というコメントをしたほどである。
 近年、磁石研究の総決算の一つとして、新たなテーマに着手した。 それは、分子磁性体の研究に於いて培った知識や技術を用いた新規MRI造影剤開発研究である。 “分子イメージング”の一つであるMRイメージング法は、 生体内に存在する水の緩和速度の違いを画像化しており、 MRI造影剤(常磁性体や超常磁性体)は電子スピンの持つ緩和能増強効果により コントラストを鮮明にする。現在、我々の作った造影剤はin vivo研究の一歩手前まで来ており、 多くの解決すべき問題を抱えているが最も面白い段階に来ている。

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 我々の研究室には、何故か非常に個性的で、独立心の強い学生が集まってくる。 研究室の学生は、2本柱の研究から派生した各自のテーマに沿って、 朝から深夜まで思う存分研究を行い、世界を相手に戦っている。 彼らは日々の質の高い研究を通して自己研鑽を積み、 そして社会に巣立って立派に活躍している。
 研究環境はわるくない(と思う)。あなたも、仲間に加わり、一緒に研究をやりませんか。 そして、タイトルの温度差を克服しましょう。

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